「伊豆山神社」ってどんな所?
熱海市の伊豆山地区に鎮座する「伊豆山神社(いずさんじんじゃ)」は、恋愛成就、縁結びの神社で知られています。
なぜ”縁結びの神社”として知られているのか。
それは遡ること千年以上昔、後に鎌倉幕府を開く源頼朝と北条政子が結ばれた場所だからです。
当時は珍しい「恋愛結婚」で結ばれた頼朝と政子
時は平安時代。武士や貴族の政略結婚が当たり前で、北条政子にはすでに親が決めた許嫁がいました。しかし流人として伊豆国へ流された源頼朝と出会い、恋仲となったのです。
父・北条時政に猛反対されるものの、政子の情熱は冷めることなく、駆け落ち同然でふたりは結ばれます。その場所が伊豆山神社であり、根負けした時政は2人の結婚を認めたのです。
こんな本を発見。源頼朝と北条政子のエピソードもあるそうで、気になります……!
伊豆で頼朝&政子の縁の地を巡って1泊しよう
この伊豆山神社をはじめ、伊豆半島は2022年度のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の舞台となっており、多くのゆかりの場所があります。せっかくならば、温泉に1泊し、北条義時と源頼朝・政子の足跡をたどる旅をしてみてはいかがでしょうか?
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伊豆山神社を参拝しよう
伊豆山神社へは、JR熱海駅からバスで10分ほど。詳しいアクセスは3ページ目で紹介しています。
170段の階段を登る!参道入口
「伊豆山神社前」バス停で下車すれば、本殿まで5分もかかりません。
白い鳥居を3つくぐります。
なかなかの階段。およそ170段あるようです。
本殿と赤白二龍で縁結びを祈願!
階段をのぼりきると、正面奥に朱色の拝殿がみえてきます。伊豆山神社の本殿です。
御祭神は、牟須比命(ほのむすひのみこと)、伊邪那伎名(いざなぎのみこと)、伊邪那美名(いざなみのみこと)の三柱を祀った「伊豆山神」。
縁結び、強運守護、福徳和合のご神徳が得られるとされてます。
平安末期の乱戦後(平治の乱)、伊豆国に流された源頼朝は、この伊豆山神社で源氏の再興を祈願したといわれています。
そして平家を打倒し、見事宿願を果たした頼朝は、伊豆山神社を関東の総鎮守(※)として崇めます。
戦勝祈願の杜として後の世でも知られていき、徳川家康も参拝に訪れたそうです。
※総鎮守…国または土地の全体をやすらかに守る神。
参拝する前に、手水舎で清めます。赤白二頭の龍がいますね。
この二頭の龍について説明板によると、『走湯山縁起』という古文書には、伊豆山の地底には赤白二龍(せきびゃくにりゅう)が仲良く横になっており、その尾は箱根の芦ノ湖に、頭は熱海市の日金山(ひがねさん)の地底にあり、両目・二耳・鼻穴・口中に当たる場所には温泉が湧いている、と記されているようです。
つまりこの赤白二龍は温泉を生み出す守護神であり、また夫婦和合、縁結びの象徴とされています。
頼朝・政子が腰掛けた石に座ってみる
参拝した後は、本殿周辺を散策してみましょう。源頼朝と北条政子が恋を語らったという、腰掛け石がありました。実際に座ることもできます。
パワーが授かる?!光り石
こちらは道祖伸(猿田彦大神と天宇受売名)と共に地上に降りてきたという「光り石」です。触ったり座ったりすると、光のパワーを授かることができるとか……。
海抜170メートルに位置する境内からは、相模湾を一望できます。初島もしっかり見えますよ!
社務所で御朱印をいただく!
こちらは境内にある社務所。階段の近くにあります。こちらで御朱印をいただけます。
納経料は300円。現在は書き置きのみとなっています。
本殿から1時間!山中にある「本宮社」を参拝しよう
「本宮社」とは、一体どのような由縁がある場所なのでしょうか。それを知るために伊豆神社の創建について紹介します。
伊豆神社のはじまりは、応神天皇2年(271)の時代。熱海の浜辺に、突然光る鏡が現れたそうです。
はじめは日金山(十国峠)に社を創り、その不思議な鏡を祀っていましたが、その後「本宮社」へ遷されます。
承和3年(836)に伊豆山神社の社殿がつくられると、鏡は「本宮社」から本殿へ遷されたそうです。
本殿から本宮社までは片道1時間ほど歩くため、体力や時間に余裕があれば、ぜひ「本宮社」まで足を延ばしてみてください。
それではさっそく、「本宮社」までの道のりを案内します。
本宮までの参拝路はほぼ山道
本宮までの参拝路入口は、本殿の裏側にあります。写真上の白い鳥居が目印です。
本宮社までの道のり、所要時間が案内されています。およそ片道50~60分ほどのハイキングです。
かつては修験道(※)の行場であった山道です。舗装路ではないので、スニーカーなど履き慣れた靴がオススメ。
間違ってもオシャレなサンダル、ブーツ、新品の靴で歩くのは避けた方がいいです。あとで後悔します……。
道は整備されており、所々に案内標識があるため迷うことはないと思います。
病気平癒、厄難消除のご利益がある「白山神社」
鳥居の入口から20分ほど歩くと、朱色の鳥居が現れます。この鳥居の先には、「白山神社」が鎮座しています。
こちらが白山神社。なぜこの場所に鎮座しているのかというと……?
天平元年(729)の夏、東国で病が流行した際、伊豆権現(伊豆山神社)に祈願したところ、「悪行のなす所、救いの術なし、これ白山の神威を頼むべし」との神託があったそうです。
すると真夏にも関わらず雪が降り、病人がその雪を舐めると病がたちどころに回復したことから、白山神社が創立されました。
まだまだ山道は続きます!
清少納言も詠んだ、子恋の森公園へ
登りきると、山頂のような場所に出てきます。写真左上の白い建物は、公衆トイレです。
案内標識をみると、青矢印の道が「子恋の森公園・本宮社」。斜面を登る赤矢印の道が「子恋の森公園近道」と記されています。
とりあえず青矢印の道を進みましたが、どちらからでも「本宮社」へ行けます。
そのまま進むと分岐点にあたります。
アスファルトの道に出てきました。こちらは子恋の森公園内のようです。
子恋の森公園は、東西約350m、南北約250mの公園です。伊豆山神社奥の院境内地でもあります。
案内マップがあるので、現在地を確認してみましょう!
ようやく半分来た感じです。本宮社までまだ距離があります。
子恋の森は古よりホトトギスの名所で知られ、清少納言の『枕草子』をはじめこの森を詠んだ歌は数多くあるそうです。
そのまま道なりに歩き、子恋の森公園を抜けます。
恋の神様が祀られている「結明神社」
公園を抜けた先は、再び山道が待ち構えています。
白い鳥居の先には石祠が鎮座しており、「結明神社」の説明板がありました。
結明神社の御祭神は、日精(女)と月精(男)という夫婦の神様で、男女の縁結びを叶えてくれる恋の神様。
古には「一名恋祭り」という神事があり、各地から若い男女が訪れたと神社の記録にあるそうです。
「参拝したいけど時間が……」という方もご安心を。
本殿に続く石段の参道に、結明神社の里宮が鎮座しています。
結明神社から本宮社までは、徒歩20~30分ほど。山頂まで緩やかな登り坂が続きます。
この鳥居がみえたら、もうゴールは目前! 力を振り絞り、階段を上がりましょう。
鳥居の先に朱色の社がみえますね、「本宮社(ほんぐうしゃ・ほんみやしゃ)」です。
海抜380m地点に鎮座する本宮社。周囲を緑深い木々が囲み、鳥のさえずりが響くだけの静寂な空間です。
ご神体である石祠が鎮座しています。
説明版によると、江戸時代までの本宮社は広さ東西5間(約9m)、南北3間半(約6m)の規模をもつ拝殿と、鳥居3か所、求聞持堂(ぐもんじどう)などの建物が建っていたそうですが、江戸時代後期の野火により焼失したそうです。
現在はこちらの本宮社と、鳥居1基のみが残されています。
帰り道には近道もありますが……
帰りは来た道を引き返す、もしくは「伊豆山神社への近道」もあります(写真上の案内標識が出ています)。
しかしこの近道、未塗装の山道で急な下り坂が続きます。
案内標識が立っているので、迷う心配はないでしょう。
30~40分近くかけて下山し、伊豆山神社の境内へ到着します。当日や前日が雨天だった場合は、この近道は避けた方が無難です。
伊豆山神社へのアクセス
伊豆山神社へは公共交通機関、クルマのいずれでも行くことができます。ここでは神社の基本情報とアクセス方法を紹介します。
「伊豆山神社」の基本情報
電話:0557-80-3164
授与受付時間:9:00〜16:30(社務所)
バス①|最もポピュラーな参拝路
JR「熱海」駅より東海バス「伊豆山神社行き」または「七尾行き」乗車(約7分)−「伊豆山神社前」バス停下車すぐ
※「伊豆山神社前」バス停からは、約170段の階段を登ります
バス②|約837段の参道を歩く参拝路
JR「熱海」駅より東海バス「伊豆山神社行き」もしくは「七尾行き」乗車−「逢初橋(あいぞめばし)」バス停下車
※逢初橋とは反対に進み、海岸に向かって坂を下りていき「走湯」を目指します。伊豆山神社の参道起点は、走湯の真上に鎮座する「走湯神社」です
本殿まで約837段の階段を上ります。ひたすら階段を上ります。
駐車場
駐車場2ヵ所あり(約30台/無料)。階段をのぼるのが難しい場合は、上駐車場を利用しましょう。
縁結び・恋愛成就を願うなら「伊豆山神社」へ!
源頼朝と北条政子が愛をはぐくみ、夫婦となった「伊豆山神社」。縁結び、恋愛成就のパワースポットとして知られ、古より若い男女の参拝が後を絶ちません。
恋愛に悩む老若男女すべての人へ、一度伊豆山神社にお参りしてみてはいかがでしょうか。
■伊豆・箱根エリアを旅しよう!
熱海は、伊豆半島の玄関口。伊豆の海と温泉を満喫した後は、山と湖に囲まれた箱根に足を延ばしてみるのもいいですね。