石仏の道、「日金山」に登ろう!
静岡県熱海市と函南町の境目にそびえる「日金山(ひがねさん)」。
その昔「日金山には鬼がいる」といわれ、伊豆地方で亡くなった死者の霊が日金山に集まるという伝承があります。
そのためか、春秋の彼岸に日金山に登ると「逢いたい人の後ろ姿を見ることができる」という不思議な話があるほど。まさに伊豆地方の山上他界というべきでしょうか。
この記事では、そんな日金山のハイキングコースを紹介します。
日金山ハイキングコース(歩行時間約2時間45分/10.5km)
↓バスで約10分
●「落合橋」バス停
↓徒歩約40分
●日金山登山口
↓徒歩約30分
●林道
↓徒歩約1時間
●湯河原分岐
↓徒歩約5分
●日金山 東光寺
↓徒歩約15分
●十国峠展望台
↓ケーブルカーで約5分
●「十国峠登り口」バス停
↓バスで約40分
●JR「熱海」駅
JR湯河原駅~十国峠までは、およそ2時間45分ほど(約10.5km)。ややアップダウンがありますが、登山未経験にも登りやすい山といえます。
十国峠からJR熱海駅行きのバスは運行本数が限られているため、バスの時間から逆算して登山計画を立てておくと安心です。
\熱海の観光ガイドブックも忘れずに/
JR湯河原駅→バス停「落合橋」
JR湯河原駅前のバスロータリーより、伊豆箱根バス「奥湯河原」行きに乗車し約10分。「落合橋」バス停で下車します。
ここから登山口まで40分ほど歩きますが、コンビニやスーパーなどは一切ありません。
トイレや飲料水の確保は、バスに乗る前に済ませておきましょう。
バス停のすぐ目の前には、日帰り温泉施設「湯河原惣湯 Books and Retreat」があります。“温泉と食と本”をテーマとするリトリート施設で、カフェや食事処も入っています。
バス停のすぐ近くにある橋を渡ります。
橋のたもとに「日金山起点」と刻まれた石仏を発見。
ゆるやかな坂道を上ります。
T字路の交差点があるので、矢印のように進んでいきます。
お寺の参道入り口(青矢印)のところに、「一丁目」と刻まれた石仏があります。
一丁目~登山口
こちらの石仏を目印に、日金山山頂にある「東光寺」を目指します。
この丁仏は1丁(109m)ごとに設置されており、一丁目~四十二丁目まであります。山頂までの距離感を教えてくれる道しるべです。
石仏は道路の両脇にあるため、五丁目の次が七丁目で、反対側に六丁目があったりします。すべての丁仏を見つけるには、なかなかの根気が必要でしょう。
一丁目の石仏からは、ほぼ道なりに進みます。
石仏以外の目印は、こちらの道標。
六丁目の石仏。
車道沿いにこんな廃墟も。公衆浴場だったようです。
登山口までは、ゆるやかな上り坂が続きます。日陰がない部分も多く、夏の炎天下に歩くのはおすすめできません。
分岐点です。左へ進むと「岩殿観音」があるようですが、日金山ハイキングは右手へ。
公衆トイレがありました。和式が1室と男性用のトイレが1つ。この先山頂までトイレがないため、不安な場合は利用してください。
トイレから5~7分ほど歩くと、日金山登山口に到着です!
登山口~林道
登山口に入ってすぐ道が2手に分かれていますが、木の階段がある左(青矢印)を進みます。山頂までは一本道だったので、赤矢印の方は登山道から外れたコースだと思われます。
石仏はまだ続いています。
前半の登山道はアップダウンもなく、歩きやすい道です。
なだらかな上りが続きます。まだ二十丁半目。
背の高い木々が生い茂り、日中でも薄暗いです。
前半は平らな道が多く、ついついペースを上げてしまいますが、後半はアップダウンが続くため体力を温存しておきましょう!
木の橋が現れました。1人でもグラグラ揺れます。
橋を越え、沢を渡ります。この後も何ヵ所か沢を渡る場面がありました。
木や岩を苔が覆い、ジブリ映画『もののけ姫』を思わせる幽玄な雰囲気。
丁仏も苔に覆われています。
小規模な滝もあり、なかなか見どころの多い山です。
足首まである草が生い茂り、登山道に浸食している場所も。
かと思えば、石段が続く整備された道が現れたり……。変化に富んだ登山道も魅力です。
沢の脇に続く登山道。
木陰が気持ちいいです。
森が開け「林道」に出ます。登山口からここまで30分ほどでしょうか。
林道~湯河原分岐点
林道にでると、正面に2つの道があります。青矢印の左が正式?な登山道らしいですが、パッと見ると道があるか分かりません。一方で、青矢印の右は整備された砂利道で、歩きやすそうです。
今回は左の登山道へ。
左の登山道入口。石仏が佇み、細い道が続いています。右の白い看板には、「東光寺まで約60分、十国峠展望台まで約70分」と記載されていました。
が、しかし……。
1~2分ほど歩くと、登山道が消失。沢を渡り、結局は砂利道を歩くことに。
ゆるやかな砂利の坂道をのぼります。
ほどなくして、何やら人工物が現れました。熱海市の水道施設のようです。ここを通り抜けていきます。
再び山道に戻ります。
登山道を塞ぐ、ねじれた細木。
丁仏を発見! ちゃんと正しい登山道を歩いていたようです。
写真だと分かりづらいですが、だんだんと上りがキツくなっていきます。
アップダウンが続き、体力を削られます。山頂に近づくにつれて、背の低い木が増えてきました。
伸びた枝が、登山道を塞ぐ場面も。
笹の葉に囲まれた急登です。しばらく坂を上り続けると……。
笹の葉で登山道が隠れていました。目印の丁仏を頼りに、笹の葉をかき分けて進みます。
道が隠れてしまってたのは、この地点だけでした(1分もしない短い距離)。
再び木の階段が続く登山道へ。この辺を歩いているとき、ゴーンと鐘のような音が聞こえました。
「湯河原分岐点」に到着しました。今回は右手の十国峠方面へ。
湯河原分岐点~日金山 東光寺
笹のトンネルを進んでいきます。
木の枝がアーチ状に伸び、まるで森のトンネルのよう。
「日金山頂上」と刻まれた石柱と、石の階段が見えてきました!
東光寺
階段を上がれば、そこは「日金山 東光寺(とうこうじ)」の境内です。正面奥に本堂があります。
東光寺の本堂です。境内の案内板にあった由来によると、274年(第15代応神天皇5年)松葉仙人が伊豆山の浜辺に現れた光る不思議な鏡をあがめ、小さな祠を建て祀ったのが開山といわれています。
手水舎には、可愛らしいお地蔵様が並んでいます。
鎌倉幕府を開いた源頼朝も、厚い信仰を寄せていた東光寺。現在本尊として祀られている「延命地蔵菩薩像」は、頼朝公が建立したと伝えられているそうです。
伊豆地方の言い伝えでは、春・秋の彼岸会に3年参りすると、逢いたい亡き人に会えるといわれています。
境内には、石仏や五輪塔、石造の三重の塔などがあります。
境内にある鐘楼。山頂手前で聞こえたのは、こちらの鐘楼を突く音だったようです。住職さんに勧められて、鐘を突いてきました。
御朱印もいただきました、初穂料300円。
日金山 東光寺~十国峠へ
東光寺から十国峠展望台へ向かいます。ここから徒歩10~15分くらいかかります。
アスファルトで舗装された道です。道の脇にはアジサイが咲き誇り、アジサイロードのようになっています。
所々、お地蔵さまが鎮座しています。石仏の道はまだ続いています。
アジサイロードを抜けると、開けた場所に出てきます。
姫の沢公園の入口がありました。
十国峠展望台は、青矢印の方へ。
まるで空に向かって延びているような坂道。ここを通り抜けると、芝生の原っぱが広がる草原に出ます。
十国峠展望台が見えてきました!
休憩しながら景色を楽しみつつ、ケーブルカーで麓に下りましょう。
あとは「十国峠ケーブルカーレストハウス」前にあるバスから、伊豆箱根バスに乗りJR「熱海」駅へ。
日金山ハイキングはここまでです。
熱海の山を歩こう!
今回はJR湯河原駅を起点に、日金山の「石仏の道ハイキングコース」を歩き、十国峠ケーブルカーで下山するルートを紹介しました。
他にも、岩戸山や姫の沢公園を経由するコースもあります。海はもちろん、熱海の山歩きもなかなか楽しいですよ!