『伊豆ジオ100』を巡る
およそ2,000万年まで海底火山だった伊豆半島は、フィリピン海プレートの動きとともに北上し、約100万年前に本州と衝突。現在の姿になりました。
そうした成り立ちから、伊豆半島は地質学的にも特異な場所とされ、2018年には国内で9番目となるユネスコ世界ジオパークに認定されました。
ジオパークの見どころ100ヵ所を厳選
そんな伊豆半島ジオパークの見どころ100ヵ所を紹介するのが、『伊豆半島ジオパーク公式ガイドブック 伊豆ジオ100』。
IZU HACK編集部員はこの書籍を参考に、伊豆半島にあるジオサイトを訪ねます。
第1回目は、天下人・徳川家康が愛した温泉地、熱海(あたみ)にある「錦ヶ浦(にしきがうら)」です。
錦ヶ浦ってどんな所?
JR熱海駅から「遊~湯~バス」に乗り、「錦ヶ浦(にしきがうら)」で下車。18分ほどで到着します。
写真の通り、断崖絶壁が続く海岸です。魚見崎(うおみざき)の南から約1kmにわたり続いています。
崖の高さは約80m、高層ビル20~25階の間くらいでしょうか。高所恐怖症の方は、ちょっと足がすくんでしまう光景かもしれません。
名前の由来は、
太陽がのぼるとき、光が浦(波が静かな入り江)にそそいで眩しい五色の光となって輝くことから、京の錦織の名をかりて「錦ヶ浦」と呼ぶようになりました。(引用:あたみニュース)
なんだそうです。
なぜジオサイトに選ばれたのか?
『伊豆ジオ100』によると、錦ヶ浦では「陸上大型火山のひとつである、多賀火山の活動初期の噴出物をみることができる」と紹介されています。
冒頭で触れたとおり、海底火山の集まりが本州に衝突し、形成されたのが伊豆半島です。
本州と陸続きになってから数十万年の間は、陸上のあちこちで大型の火山が噴火を繰り返していたと考えられています。
その一つである多賀火山(熱海市)の噴火で、海底に流れた溶岩と水とマグマが触れあって生じた爆発的噴火(水蒸気マグマ噴火)により、錦ヶ浦の地層が形成されたそうです。
つまり今目にしている断崖の地層は、何十万年も昔の噴火で流れ出たマグマと海がふれあって爆発したときにできたもの、ということでしょうか。
錦ヶ浦の展望スポット
断崖の上にはホテルが建ち、レンガ調の遊歩道が整備されています。
遊歩道は「ホテルニューアカオ」から~伊豆一の絶景カフェをうたう「花の妖精」までです。
遊歩道からは、初島(はつしま)がみえます。
見どころには写真上の足マークがあるので、ぜひ探してみてください。
遊歩道沿いには、2ヵ所の展望スポットがあるのでご紹介します。
① ホテルニューアカオの展望台
こちらは「ホテルニューアカオ」の隣にある展望台です。
何やら石碑が…。読んでみると、なぜ「熱海」という名称なのかがわかります。
案内板がありました。ジオサイトの説明と、周辺の風景を紹介しています。
伊東方面を撮影しました。対岸にみえるのは網代温泉のようです。
② 扇崎庭園(おうぎざきていえん)

階段を降りると、正面に錦ヶ浦の断崖が現れます。
「これぞ錦ヶ浦!」的な景色をみるならここは外せません。
熱海城の全体像もみえます。
庭園内には、伊豆一の絶景カフェをうたう「花の妖精」があります。一息ついてゆっくり景色を眺めたい、という方はぜひお立ち寄りを!
店内は昭和レトロな内装で、ガラス張りの窓からは錦ヶ浦と相模湾をのぞめます。
写真の主役がパフェになってますが、背景は錦ヶ浦の断崖です。花の妖精では季節ごとに旬の果物を使ったパフェを提供しています。
2022年6月3日(金)から2022年7月18日(月)までは、初夏限定の「グレープフルーツとライチのパフェ」。
あぁ、毎月食べに行きたい……。
花の妖精を過ぎた先に、展望台のような場所があります。…が、背の高いガラスフェンスと鉄の柵に囲まれており、撮影には不向きでした。
展望台からの景色です。初島と白い大型フェリーがみえました。
以前は「錦崎庭園」と呼ばれる展望スポットがあったようですが、現在(2021年10月)は閉鎖されていました。
以前は行けたようですが、写真の遊歩道は現在は入れません(2021年10月)
観魚洞隧道(かんぎょどうずいどう)
観魚洞隧道は、ホテルニューアカオの近くにある総石造のトンネル。全長113mあり、明治42年(1909)に造られました。
2002年には、国の登録有形文化財に。熱海駅方面から錦ヶ浦へ向かう場合、大半の方はこのトンネルを通ります。
錦ヶ浦までのアクセス
バス
JR熱海駅「遊~湯~バス」0番乗り場よりバスに乗車し約18分、「錦ヶ浦」下車
車
ホテルニューアカオ付近
錦ヶ浦には、専用駐車場がありません。
少し遠いですが「熱海城」の有料駐車場を利用するか、「花の妖精」を利用する場合はお店の専用駐車場を利用してください。